こんにちは。Cuです。
この記事は統治行為論アドベントカレンダー12日目の記事です。
統治行為論 Advent Calendar 2022 - Adventar
みなさんは1025(とうちこ)年春アニメの『とうちこっ!』をご存知でしょうか?
とうちこっ! あらすじ
私立賽子(さいころ)学園の新入生統治行為論は入学早々部室へ走っていた。そう、憧れていた賽子学園数学部に入部するのだ。
しかし数学部の扉には「部員不足により廃部」という張り紙が───
統治行為論は小学校からの知り合い 空手踊り や とまとん先輩 といった仲間たちを集めて部活を再興しようとするが───?
新感覚マスマティカ=コメディ ここに開幕! (公式HPより引用)
今回の記事では、この『とうちこっ!』OPの1つ『日日統治行為(にちにちとうちこうい)』の歌詞(OP尺)を考察していきます!
※ 『とうちこっ!』は『日日統治行為』と『おはちこっ!』というOPがあり、『おはちこっ!』はキャラクターごとに複数パターンあります。
アニメ尺歌詞
朝目が覚めて 布団から出られない
『一限絶起 二限は逃げん 今日も三限登校です』
ラーメン食べて 行こうかな研究室
私の専門 どこに落ちているの
あなたと共同研究したらきっと
フィールズ賞も間違いなしよ
君の研究(こころ)に 統治行為!
私との行間 埋めたいな
未知の世界へ 正気放棄!
甘い証明は つめたいね
新規性発見 共著論文執筆
アクセプト間違いな・し・よ!
歌詞カードにはありませんが、イントロで
統治行為論とは、「国家統治の基本に関する高度な政治性」を有する国家の行為について、本来裁判所によって法律判断が可能であったとしても、高度な政治性をもつ事柄については司法審査の対象から除外するという理論
と統治行為論の説明をしています。
一見歌詞が短いように見えるのは、この統治行為詠唱(通称)があるからですね。
それでは細かく歌詞を分析しましょう!
Aメロ
朝目が覚めて 布団から出られない
『一限絶起 二限は逃げん 今日も三限登校です』
ラーメン食べて 行こうかな研究室
Aメロでは典型的な大学生の習性を歌っています。あれ?本作の舞台は「私立賽子学園」では?
心配ありません。統治行為論は14歳美少女JCであると同時に大学院生であることが知られています。
統治行為論って何?年齢は?趣味は?学歴は? - Cuさんのオタク日記
さて大学生のゴミ習性を歌っただけに見えるフレーズですが、実は奥深い仕掛けがなされています。
カラオケで歌ったことがある人なら気づくかもしれません。
朝目が覚めて→a sa me ga sa me te
ラーメン食べて→ra a me nn ta be te
(「ん」には目を瞑るとして) 母音が合わせられています。実は『日日統治行為』にはこのような音の仕掛けが多く仕込まれています。
Bメロ
Bメロの前にAメロ2がありますが、アニメ尺では出てこないので省きます。full 買って聞こう!残念ながらspotifyにはありませんが……。
私の専門 どこに落ちているの
あなたと共同研究したらきっと
フィールズ賞も間違いなしよ
真剣な悩みが伝わります。くるしい。
3つの塊がありますが、全てo音で終わっています。細かいですね。
サビでも出てきますが、私 対 あなた(君) という構図が気になります。
実は『とうちこっ!』はギャグアニメに見えて、しっかりラブコメ要素が詰め込まれています。(主人公カプはもちろん、11話「葬儀行為論」はしれーっととうちこグランパの恋愛様子を描きます)
ここで「フィールズ賞」というところに注目しましょう。アニメOPを見ると「フィールズ賞」のところで「葬儀行為論」のときのとうちこグランパ若返りシーンのカットが入ります。
そう、フィールズ賞とは若さの象徴として考えることができるのです!
サビ
君の研究(こころ)に 統治行為!
私との行間 埋めたいな
未知の世界へ 正気放棄!
甘い証明は つめたいね
新規性発見 共著論文執筆
アクセプト間違いな・し・よ!
まず韻に気づきますね。
君の(kimino)⇔未知の(mitino)
統治行為(toutikoui)⇔正気放棄(shyukihouki)
私との(watashitono)⇔甘い証(amaishoo)
埋めたい(umetai)⇔つめたい(tsumetai)
正気放棄は10話タイトル「正気放棄論」から来ています。こんなところに伏線があるのです。9話次回予告の時は震えましたね!
「研究」を「こころ」と読ませるのも憎いです。まさに研究は研究者の心そのものです。なお、OP映像では『コホモロジーのこころ』と思われる本が登場します。
さて「こころ」を統治行為するとは、どういうことでしょうか?統治行為とは、国家と国家に関わる法が裁判所の司法審査を外れうること。これは極めて簡単なアナロジーがあります。そうです。人と人の間の恋愛です。
恋は人を狂わせる───これを「司法審査を外れた国家の行為」とみなしているのですね!
「私との行間を埋めたいな」も数学アニメならではのフレーズです。わざわざ行間という仰々しい単語を使うことで、直前の統治行為とのつながりが滑らかになります。
行間パートは「甘い証明はつめたいね」にも関連してきます。
数学系の人間は、行間の残る「甘い証明」を見ると、行間を「詰めた」くなるものです。「行間を埋めたいな」というフレーズが布石となります。
同時にひとつのミスリードを誘っていることにも注目しましょう。「つめたいね」は歌詞カードにおいてひらがな表記です。これは「冷たいね」という読ませ方もさせようとしているのでしょう。
まだ「私」と「君」との行間は埋まってはいないのです。その隔絶に対する「冷たさ」を歌っています。
「甘い」について、「甘い言葉」という言い回しがあることは周知の事実でしょう。「甘い言葉」をかけられている一方、相手とはスキマを感じる───とおもえば、「冷たい」という単語も納得できるでしょう。
ここに続く「新規性〜」も行間を詰めていく営みと思えば、恋の駆け引きを想像できます。新規性とは行間を詰めていく過程で見つける新たな一面ですし、共著論文は2人で心を通わせる共同作業 (1期ではやりませんでしたが、『とうちこっ!』文化祭パートを思い出します) です。
すると「アクセプト」とは、告白の成功ということでしょうか?甘い歌詞ですね。
おわりに
いかがでしたか?
まだ『とうちこっ!』を見たことがない人はこれを機に見てみましょう!
え?
おおまけ
歌詞を作ってみた感想なんですけど、かなり大変ですね。プロはもっとうまくやると思います。
ちなみにメロディの構想はあるのですが、作曲ができないから作れん。誰か俺の脳波を読み取って作ってくれ。
ちなみに歌詞作成で参考にした(?)作詞家八城雄太さんは素晴らしい歌詞を書かれる方なので、皆さま是非聴いてみてください!